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奈良の四季と着物|春夏秋冬で愉しむ和装

四季の花菊 雅楽刺繍文

奈良の風景と着物が重なる年間12か月の着こなしガイド

着物には「季節」がある。

これは単に暑さ・寒さに合わせるという話ではありません。

着物の世界では、素材・色・柄・帯・小物のすべてが季節と深く結びついており、「今この季節に、この着物を纏う」という感覚そのものが、和装の醍醐味のひとつです。

そして奈良という土地は、四季それぞれに異なる表情を持ちます。

春の吉野千本桜、夏の東大寺お水取りの余韻と蛍、秋の正倉院展と紅葉、冬の若草山焼きと春日大社の万燈籠——奈良の四季には、着物姿でそこに立ちたくなる場面が一年を通して溢れています。

この記事では、奈良の呉服店として長年この土地と着物に携わってきた視点から、奈良の四季ごとにふさわしい着物の選び方・着こなし・おすすめの行事・スポットを月ごとに丁寧にお伝えします。

「着物で奈良を愉しむ」一年の地図として、ぜひお使いください。

この記事でわかること

  • 着物の「季節のルール」——袷・単衣・薄物の使い分け
  • 春(2〜5月)——奈良の桜と着物の選び方
  • 夏(6〜8月)——絽・紗・浴衣で涼やかに
  • 秋(9〜11月)——紅葉と着物の色が重なる季節
  • 冬(12〜2月)——凛とした古都を着物で歩く
  • 月別の着物カレンダーと奈良の行事一覧

着物と季節のルール——袷・単衣・薄物を知る

着物を季節ごとに正しく着るために、まず「着物の仕立て方の区分」を押さえておきましょう。大きく「袷(あわせ)」「単衣(ひとえ)」「薄物(うすもの)」の三種があり、気候・慣習に合わせて使い分けます。

三種の仕立てと着用時期

仕立ての種類着用時期(目安)特徴
袷(あわせ)10月〜5月裏地(八掛・胴裏)付き。保温性がある。着物の標準的な仕立て方
単衣(ひとえ)6月・9月裏地なし。袷と薄物の中間。季節の変わり目に着る
薄物(うすもの)7月・8月絽・紗・麻など透け感のある生地。真夏専用の涼しい着物

ただしこれらは「目安」であり、近年の気候変動を踏まえると実際の気温に合わせた柔軟な対応が現実的です。

特に奈良は盆地特有の気候で、夏は非常に暑く冬は冷え込みます

季節のルールを理解しつつ、体感温度を優先した着こなしも大切にしてください。

「季節の先取り」という日本の美意識

着物の世界には「季節を先取りする」という美意識があります。

実際の季節より少し早い柄・色を選ぶことが粋とされています。

  • 桜の着物 桜が満開になる前(2月末〜3月)から着始め、散り際(4月上旬)まで。満開を過ぎたら着ない
  • 紅葉の着物 紅葉の始まる少し前(9月末〜10月)から着始める
  • 雪・冬の柄 本格的な冬が来る前(11月末〜)から楽しめる

この「季節の先取り」は、「来る季節への期待と憧れ」を着物で表現する日本の感性です。

奈良の豊かな自然の中でこの感覚を大切にすると、着物生活がより豊かになります。

春 2月〜5月 桜と若草と着物と

奈良の春は、着物でめぐる場所が最も豊かな季節です。

東大寺の参道に桜が咲き、若草山の芝が青みを帯び、春日大社の藤が紫の房を垂らす——奈良のあちこちで着物姿が映える風景が生まれます。

2月——梅と早春の奈良

立春を過ぎ、奈良には春の気配が忍び込んでくる時期です。

まだ冷え込みますが、着物の世界では「春の先取り」の始まりです。

  • おすすめスポット 大宮通りの梅・月ヶ瀬梅渓(奈良市北部)。梅の花を背景にした着物の写真は早春らしい一枚に
  • 行事 節分(2月3日):春日大社・東大寺などで節分行事。着物姿での参拝に最適な機会

2月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷(あわせ)。まだ冷えるため裏地付きを
  • おすすめの色 梅色(薄いピンク)・白梅色・淡い水色。春を予感させる柔らかい色合い
  • おすすめの柄 梅・鶯(うぐいす)・松・雪輪(ゆきわ)。雪輪は冬から春への架け橋のような柄
  • 防寒の工夫 道行コート・羽織・ショールを重ねて。足元は防寒足袋または厚手の足袋で

【2月の着物コーデ例】 白地に梅の小紋+深緑の名古屋帯+薄いピンクの帯揚げ+道行コート(グレー)

3月——春の訪れ、東大寺のお水取り

3月は奈良で最も神秘的な行事「お水取り(修二会・しゅにえ)」が行われる月です。

東大寺二月堂で毎年3月1日〜14日に行われるこの行事は、奈良に春を告げる「天下の奇祭」として1200年以上続いています。

松明(たいまつ)が回廊を駆け抜ける炎の光景を着物姿で見上げるのは、奈良で着物を着る人だけが体験できる特別な瞬間です。

  • 行事 東大寺修二会・お水取り(3月1〜14日)。特に3月12日のお松明は最大規模
  • おすすめスポット 二月堂回廊下・大仏殿前の広場

3月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷。3月中旬までは冷えることが多い
  • おすすめの色 桜色・若草色・水色・クリーム。「春が来た」という明るさを表現
  • おすすめの柄 桜(まだ早めだが先取りで)・蝶・春草・霞(かすみ)
  • 夜のお松明鑑賞の注意 3月の夜は冷え込む。道行・大判ショール・手袋の準備を。草履は安定したものを

【3月の着物コーデ例】 薄桜色の付下げ+白に金糸の袋帯+淡いグリーンの帯揚げ+道行コート(薄紫)

4月——千本桜と奈良の春爛漫

4月は奈良の着物散策の最盛期です。

奈良公園の桜・吉野の千本桜・長谷寺の牡丹——奈良のいたるところで着物が映える背景が生まれます。

特に吉野山の千本桜(4月上〜中旬)は、日本一の桜の名所として世界的にも知られます。山肌を染める桜と着物姿の組み合わせは、一生の記憶に残る光景です。

  • 行事 春日大社・東大寺の春の法要・各神社の春祭り
  • おすすめスポット 吉野山千本桜・奈良公園の桜並木・春日大社参道・長谷寺(牡丹は4月下旬〜5月)

4月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷。4月後半は気温が上がるため薄手の袷が快適
  • おすすめの色 桜色・薄ピンク・白・淡いラベンダー。桜と調和する柔らかい色が映える
  • おすすめの柄 桜・蝶・鞠・春草。桜柄は満開前〜散り際まで
  • 吉野散策の注意 山道・石畳があるため草履は安定したものを。山中は平地より気温が低いため羽織を一枚

【4月の着物コーデ例(吉野向け)】 淡いピンクに桜散らし小紋+白地に桜文様の名古屋帯+白の帯揚げ・帯締め+薄いグリーンの羽織

5月——新緑と初夏の光の中で

桜が散り、奈良は新緑の季節を迎えます。

深まる緑の中に社寺の朱や石の白が際立つ5月の奈良は、着物との相性が抜群です。

気温も快適で、一年の中で着物散策がしやすい季節のひとつです。

  • 行事 薬師寺・唐招提寺の春の法要・興福寺薪御能(5月中旬・野外能楽)
  • おすすめスポット 若草山の新緑・春日大社万葉植物園の藤(5月上旬)・室生寺の石楠花(しゃくなげ)

5月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷。5月後半は気温が上がるため単衣に切り替える方も
  • おすすめの色 若草色・萌黄色(もえぎいろ)・水色・白。新緑に溶け込む爽やかな色
  • おすすめの柄 藤・杜若(かきつばた)・新緑・鯉(端午の節句にちなみ)
  • 帯 明るい色の名古屋帯または袋帯(洒落系)。春の終わりを告げる軽やかなコーデに

【5月の着物コーデ例】 若草色の色無地(一つ紋)+白地に藤の袋帯+藤色の帯揚げ・帯締め

夏 6月〜8月 涼を纏い、夜を愉しむ

奈良の夏は、盆地特有の蒸し暑さが厳しい季節です。

しかし着物の世界には、この暑さの中でこそ輝く「夏着物の美学」があります。

絽・紗・麻の涼しげな素材、透け感のある薄物、そして浴衣——夏の着物は「いかに涼しく見せるか」という日本人の美的感覚の結晶です。

6月——単衣の季節・水無月の奈良

6月は衣替えの季節。着物の世界でも袷から単衣(ひとえ)へと切り替わります。

単衣とは裏地のない着物で、袷より涼しく薄物より格式があります。

奈良では6月に唐招提寺の「うちわまき」(6月6日)という珍しい行事があります。

うちわを境内の鼓楼から投げ、受け取った人の病が治ると言われる伝統行事です。

着物姿での参加は特別な趣があります。

  • 行事 唐招提寺うちわまき(6月6日)・三輪山大神神社夏越の大祓(6月30日)
  • おすすめスポット 唐招提寺(菖蒲の花・6月中旬)・室生寺(苔が美しい梅雨の時期)

6月の着物選び

  • 着物の仕立て 単衣(ひとえ)が基本。6月前半は薄手の袷でも可
  • おすすめの素材 縮(ちぢみ)・絹紅梅(きぬこうばい)・上布・竪絽(たてろ)など
  • おすすめの色 涼しげな水色・薄いグレー・白・薄緑。「見た目の涼しさ」を意識
  • おすすめの柄 菖蒲・紫陽花・流水・波・竹。梅雨の景色と呼応する柄
  • 帯 夏帯(絽の名古屋帯・羅の帯)に切り替える。帯も「夏仕様」が大切

【6月の着物コーデ例】 白地に紫陽花の単衣小紋+薄グレーの絽の名古屋帯+白の絽の帯揚げ・紺の帯締め

7月・8月——薄物と浴衣、夏の奈良を纏う

7・8月は着物の世界で「薄物(うすもの)」の季節です。絽(ろ)・紗(しゃ)・麻(あさ)など透け感のある素材が真夏専用の礼装着物です。

そして浴衣は日本の夏の象徴として、誰もが気軽に楽しめる夏の着物です。

薄物の素材と特徴

  • 絽(ろ) 横または縦に隙間のある平織。最も一般的な夏の礼装着物の素材。略礼装〜準礼装に
  • 紗(しゃ) 網目状の薄い織物。絽より透け感が強く涼しげ。カジュアル〜準礼装に
  • 麻(あさ) 植物繊維で清涼感が最も高い。洗える・丈夫。主に普段着・カジュアルに
  • 絹紅梅(きぬこうばい) 絹と綿の交織。浴衣地より格が高く、帯次第で外出着に。近年人気が高い

奈良の夏行事と着物・浴衣

  • 東大寺大仏開眼会・万燈供養(8月15日) 盂蘭盆の法要。浴衣・薄物での参拝に最適。境内がろうそくの灯りで幻想的になる
  • 春日大社中元万燈籠(8月14・15日) 3000基の石灯籠・釣灯籠すべてに灯が入る。年に二度だけの幻想的な光の祭典。浴衣姿での参拝が奈良の夏の定番
  • なら燈花会(8月初旬の10日間) 奈良公園一帯を無数のキャンドルが照らす。夜の浴衣散策に最も人気のイベント
  • 郡山金魚まつり(8月中旬) 大和郡山市の金魚の産地ならではの夏祭り。浴衣でのお出かけに

7・8月の着物・浴衣選び

  • 薄物の色 白・薄水色・薄いグレー・生成り。「涼しく見える色」が最優先
  • 薄物の柄 朝顔・波・金魚・花火・流水・夏草。夏の情景を柄で表現
  • 浴衣の選び方 綿素材が基本。近年は綿麻・絹交織など高品質な浴衣も。色・柄は好みで自由に
  • 夏の帯 半幅帯(浴衣)・絽の名古屋帯(薄物の礼装)・麻の帯(カジュアル)
  • 夏の小物 麻の帯揚げ・レース足袋・夏用草履。扇子・日傘も夏の着物の必需品

【なら燈花会向け浴衣コーデ例】 藍地に金魚の綿浴衣+白の半幅帯(文庫または蝶結び)+下駄+涼しげな巾着バッグ

奈良の夏は非常に暑く、日中の着物散策は体への負担が大きいです。

夏の着物は早朝か夕方〜夜がおすすめ。

特になら燈花会・万燈籠などの夜間イベントは、浴衣での参加が最も楽しい季節の着物体験のひとつです。

秋 9月〜11月 錦と着物が重なる奈良の秋

奈良の秋は、着物が最も輝く季節です。

紅葉・金・茶・深緑——秋の色彩は着物の色と呼応し、着ている人も風景の一部になります。

正倉院展が開かれる奈良国立博物館、紅葉に染まる談山神社、黄金色の銀杏並木——奈良の秋は着物散策の宝庫です。

9月——残暑から秋へ、単衣の季節

9月は夏と秋の境界線の月です。前半はまだ暑さが残り、後半から秋の気配が濃くなります。

着物は単衣(ひとえ)に切り替わる時期で、夏の疲れを癒すように静かに秋を迎えます。

  • 行事 春日大社中秋の名月(旧暦8月15日)・各神社の秋の祭礼
  • おすすめスポット 奈良公園の早朝(朝霧と鹿)・浮見堂の月見・吉城園(水辺の庭園)

9月の着物選び

  • 着物の仕立て 単衣(ひとえ)が基本。前半は夏に近い素材・後半は秋の色柄を先取り
  • おすすめの色 くすんだ緑・からし色・柿色・深い赤。秋色の先取り
  • おすすめの柄 菊・萩・桔梗・秋草・月兎(つきうさぎ)。中秋の名月に合わせた柄も粋
  • 帯 袷用の帯に切り替え始める。秋色・落ち着いた色調の名古屋帯や袋帯

【9月の着物コーデ例(月見向け)】 濃い紺地に月と兎の小紋+からし色の名古屋帯+薄紫の帯揚げ+紺の帯締め

10月——正倉院展と深まる秋

10月は奈良が最も文化的に輝く月です。

奈良国立博物館の正倉院展(例年10月下旬〜11月初旬)は、奈良時代の宝物が公開される年に一度の特別な機会です。

着物姿で正倉院の宝物を鑑賞する——この体験は、奈良でしかできない秋の着物の愉しみです。

  • 行事 正倉院展(奈良国立博物館・10月下旬〜11月初旬)・御霊神社秋祭り・各地の秋の大祭
  • おすすめスポット 奈良国立博物館・春日大社の紅葉参道・興福寺境内の銀杏

10月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷(あわせ)に切り替わる。10月は袷の解禁月
  • おすすめの色 深い赤・えんじ・抹茶色・からし色・深紫。秋の深みを表現する色
  • おすすめの柄 菊・紅葉・桐・松・吉祥文様(正倉院文様をモチーフにした柄も)
  • 正倉院展向けの着物 格調ある訪問着・色無地(一つ紋)・上質な小紋。博物館という場の格に合わせた装いを

【正倉院展向けコーデ例】 深い紫の訪問着+正倉院文様の袋帯(金糸入り)+えんじの帯揚げ+金糸の帯締め

11月——錦秋の奈良、着物が最も映える月

11月は奈良の着物散策の絶頂期です。

東大寺・春日大社・興福寺の紅葉、談山神社の真っ赤な紅葉と十三重塔、室生寺の山深い錦秋——奈良のあちこちで着物と紅葉の「共演」が生まれます。

この月に奈良を着物で歩けば、どこを切り取っても絵になります。

一年の中で最も「着物で来てよかった」と感じる月が11月です。

  • 行事 正倉院展(続き)・春日大社秋の神楽・談山神社けまり祭(11月3日)
  • おすすめスポット 談山神社(紅葉の名所)・室生寺・東大寺転害門周辺・奈良公園全域

11月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷(あわせ)。11月後半は防寒対策も
  • おすすめの色 真紅・えんじ・山吹色・深緑・濃い茶。紅葉と「共演する色」を選ぶ
  • おすすめの柄 紅葉・菊・松・流水に紅葉(もみじ)。秋の最盛期の柄を存分に
  • コーディネートの考え方 紅葉と「同化」(同系色)するか「対比」(補色)するかで印象が変わる。えんじの着物は紅葉と同化して風景の一部に。水色・深緑の着物は紅葉と対比して互いを引き立てる

【11月・談山神社向けコーデ例】 えんじ地に菊の訪問着+金茶の袋帯+朱の帯揚げ+からし色の帯締め

11月の紅葉シーズンの談山神社・室生寺は混雑します。着物での来訪は平日の午前中がおすすめ。

草履で山道・石段を歩くことになるため、歩きやすい低めの草履・または足袋ソックスの準備を。

冬 12月〜2月 凛と静かに、冬の奈良を纏う

冬の奈良は訪れる人が少なく、社寺が静けさを取り戻します。

観光客の喧騒が消えた東大寺・春日大社・ならまちを着物で歩くのは、奈良通だけが知っている冬の贅沢です。

凛とした冷気の中に着物姿が映える冬の奈良——その美しさは他の季節では味わえません。

12月——師走の奈良と年の瀬の着物

12月は年の瀬の慌ただしさの中にも、各社寺で静かな行事が続きます。

除夜の鐘・年越し参拝を着物で迎えるのは、日本の伝統的な年末年始の過ごし方です。

  • 行事 春日大社師走大祓(12月31日)・東大寺除夜の鐘(12月31日深夜)・各社寺の年末行事
  • おすすめスポット ならまち(年末の静けさが美しい)・春日大社参道の石灯籠

12月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷(あわせ)。防寒が最優先
  • おすすめの色 深い赤・黒・濃紺・深緑。冬の凛とした空気に映える深みのある色
  • おすすめの柄 松・竹・梅(松竹梅)・鶴・宝尽くし。年末年始の慶事に向けた吉祥文様
  • 防寒の工夫 インナー(ヒートテック等の薄手)・足袋インナー・ネル足袋(裏起毛)・道行コート・大判ショール

【12月の着物コーデ例(年末参拝向け)】 黒地に松竹梅の訪問着+金銀の袋帯+朱の帯揚げ+金の帯締め+黒の道行コート

1月——お正月の奈良と初詣

1月は着物を着る機会が最も多い月のひとつです。

初詣・成人式・新年会——着物で始まる新年は、凛とした気持ちとともに一年を歩み始める感覚があります。

奈良の初詣といえば春日大社・東大寺・唐招提寺・薬師寺など、世界遺産の社寺への参拝が定番です。

着物姿での初詣は「晴れやかな一年の幕開け」にふさわしい装いです。

  • 行事 春日大社・東大寺初詣(1月1〜3日)・若草山焼き(1月第4土曜日)・奈良の成人式
  • おすすめスポット 春日大社・東大寺・薬師寺・唐招提寺の初詣

1月の着物選び

  • おすすめの色 赤・朱・金・黒・深緑・白。正月らしい華やかな色合いを
  • おすすめの柄 松竹梅・鶴・宝船・富士・七福神・ご縁起の吉祥文様を思い切り楽しむ月
  • 若草山焼きの着物 夜の屋外行事。防寒万全で。炎の光の中で着物が映える。暗い色よりも朱・赤が炎の光を美しく反射する

【若草山焼き向けコーデ例】 朱色の小紋(袷)+からし色の名古屋帯+道行コート(黒または深紺)+ネル足袋

2月——節分と冬の終わりの気配

2月は冬の締めくくりであり、春への移行期です。

節分の豆まきが各社寺で行われ、春日大社・東大寺・興福寺などで豆まき神事が執り行われます。

着物姿での節分詣では、冬の奈良を着物で締めくくる機会です。

  • 行事 春日大社節分万燈籠(2月3日)・東大寺節分・興福寺節分会(2月3日)
  • 春日大社節分万燈籠 境内の石灯籠・釣灯籠すべてに灯が入る幻想的な光景。8月と2月の年二回のみ。夜着物での参拝が特におすすめ

2月の着物選び

  • 着物の仕立て 袷。2月はまだ冷え込む。防寒の工夫が引き続き必要
  • おすすめの色 梅色(薄ピンク)・白梅色・黄梅色(淡い黄)。春を予感させる色を先取り
  • 節分向けの着物 格式ある場ではないため、小紋・紬でも可。色は明るめを選ぶと灯籠の光に映える

【節分万燈籠向けコーデ例】 白地に梅の小紋(袷)+深緑の名古屋帯+薄ピンクの帯揚げ+道行コート(グレー)

奈良の着物カレンダー——12ヶ月まとめ

着物の仕立ておすすめの色・柄奈良の主な行事・スポット
1月赤・朱・金・吉祥文様初詣・若草山焼き・成人式
2月梅色・白・春の先取り節分・万燈籠・梅
3月桜色・若草色・霞東大寺修二会・お水取り
4月袷(薄手)淡いピンク・桜・蝶吉野千本桜・奈良公園の桜
5月袷→単衣若草色・藤・新緑長谷寺牡丹・薪御能・藤
6月単衣水色・白・紫陽花唐招提寺うちわまき
7月薄物(絽・紗)白・薄水色・朝顔燈花会・各地の夏祭り
8月薄物・浴衣涼しい色・金魚・花火燈花会・万燈籠・大仏供養
9月単衣からし色・秋草・月兎中秋の名月・吉城園
10月深い赤・菊・正倉院文様正倉院展・各地の秋祭り
11月えんじ・山吹・紅葉談山神社紅葉・けまり祭
12月袷(防寒)深い色・松竹梅・鶴除夜の鐘・師走大祓

奈良の着物散策——季節ごとの実用アドバイス

冬の防寒——奈良の寒さは本格的

奈良盆地の冬は思いのほか冷え込みます。着物は保温性が低いため、防寒の工夫が着物散策を快適にする鍵です。

  • インナー 薄手の肌着(ヒートテック等)を長襦袢の下に着る。首元・袖口から見えないものを選ぶ
  • 足元 足袋インナー(薄手の足袋型靴下)+ネル足袋(裏起毛)の二重履き。草履の草鞋ソックスも有効
  • アウター 道行コート・羽織・和装ケープ。道行は礼装でも使えるフォーマルなアウター
  • ショール 大判の絹・ウール・カシミヤのショールは着物の防寒の万能アイテム
  • 手元 手袋(着物用またはアームウォーマー)・懐炉。手袋は外せる薄手のものが使いやすい

夏の暑さ対策——奈良の夏は厳しい

  • 時間帯 日中(10〜15時)の着物散策は避ける。早朝・夕方〜夜が圧倒的におすすめ
  • 保冷グッズ 保冷剤(ハンカチに包んで脇に挟む)・冷感スプレー・携帯扇風機
  • 日傘 和装用日傘(日本傘)は着物姿に合い、紫外線対策にも。晴雨兼用が実用的
  • 帯周りの工夫 夏は帯芯を薄くした夏帯に。帯板も夏用(メッシュ・竹製)にすると背中が蒸れにくい
  • 水分補給 着物を着ていると汗をかきにくいと思いがちだが実際は大量に汗をかく。こまめな水分補給を

雨天の着物散策——奈良は山に囲まれ天候変化がある

  • 雨コート 着物用雨コート(ナイロン等の撥水素材)を常備。仕立てた雨コートが最も美しい
  • 草履カバー 草履に装着する透明カバー。草履が濡れると歩きにくく傷む
  • 足袋の替え 濡れた足袋は不快感の原因。替えの足袋を携帯しておく
  • 雨天の行き先選択 屋根のある場所を中心に。ならまちのカフェ・博物館・社寺の建物内など

「雨でも着物で来てよかった」と感じるのは、きちんと雨対策ができているときです。

雨コート・草履カバー・替え足袋の三点セットを用意しておけば、奈良の雨の日も着物散策を楽しめます。

まとめ——四季を着物で愉しむ奈良の一年

奈良の四季と着物は、切り離せない関係にあります。

千二百年の歴史が積み重なったこの古都では、着物姿で歩くことが最も自然な旅の形のひとつです。東大寺の大仏の前に立つとき、春日大社の参道を歩くとき、ならまちの石畳を下駄で行くとき——着物を纏っているだけで、奈良の時間が少しゆっくりと流れ始める感覚があります。

  • 春(2〜5月) 桜・新緑・藤。袷で春の色柄を先取りしながら奈良の花を愉しむ
  • 夏(6〜8月) 単衣・薄物・浴衣。涼しい素材と涼しい色で奈良の夜の行事を愉しむ
  • 秋(9〜11月) 単衣から袷へ。正倉院展・紅葉と着物の色が奈良で重なる最盛期
  • 冬(12〜2月) 袷+防寒。静かな古都を凛とした着物姿で歩く奈良通の愉しみ

着物を着て奈良に来てみたい、または奈良に住んでいて着物を始めてみたい——そう思ったとき、どうぞ奈良の呉服店へお越しください。

季節に合った着物選びから、着付け・お手入れまで、一緒に奈良の四季の着物生活を始めましょう。

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何から始めればいいのか、さぁ困った。
皆さんお着物を日常にお召しになられないのでこんな疑問は当たり前のことです。
どうぞご相談下さいませ。一緒に考えさせていただきます。
呉服専門店は、そんな皆様の道先案内人となって差し上げます。

奈良県の北西部近鉄線学園前駅徒歩2分。
閑静な高級住宅街で有名な学園北のお屋敷街の中に
ひっそりとたたずむ知る人ぞ知る隠れ家呉服店です。

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