着物の寸法直しとは? 直せる範囲|料金|依頼先の選び方を呉服店が解説

― 大切な着物を、今の体に合う一枚へ ―
「母から譲り受けた着物を着たいけれど、サイズが合わない」
「昔は着られたのに、体型が変わってしまった」
そんなお悩みはありませんか。
奈良で着物の相談を受けていると、寸法直しについてのご質問は、
非常に多く寄せられています。
実は、多くの着物は“寸法直し”で着られるようになります。
この記事では、
・どこまで直せるのか
・いくらかかるのか
・どこに頼めばいいのか
を、初めての方にもわかりやすく解説します。
■ 着物の寸法直しとは?
着物の寸法直しとは、サイズを部分的に調整する作業のことです。
身長や腕の長さ、体型に合わせて
「詰める(小さくする)」または「出す(大きくする)」調整をします。
洋服のお直しと同じイメージで大丈夫です。
特別なことのように感じますが、実は珍しい作業ではありません。
■ 寸法直しができる箇所と、それぞれの意味
着物には専門用語が多いですが、難しく考えなくて大丈夫です。
体のどこに対応しているかを知れば理解できます。
裄(ゆき)
肩から手首までの長さ。
短いと手首が出てしまい、長いと袖が余ります。
身丈(みたけ)
着物全体の縦の長さ。
長すぎるとおはしょりが多くなり、短いとおはしょりが作れません。
身幅(みはば)
着物の横幅。
狭いと前が閉じにくく、広すぎるとダブつきます。
袖丈(そでたけ)
袖の縦の長さ。
長すぎたり短すぎたりすると全体の印象が変わります。
袖幅(そではば)
袖の横幅。
肩のきつさや余りに関わります。
自分の悩みがどの部分なのかを知ることが第一歩です。
■ 寸法直しで直せる範囲の限界
「どこまで直せるのか?」
これは最も多い質問です。
大きくできる限界は、縫い代(折り込み)の分だけです。
中に縫い込まれている生地があれば、その分は出せます。
目安としては、±8cm程度が一般的です。
小さくする方は比較的自由度が高いですが、
大きくする方は、元の生地幅以上に広げることはできません。
特に昔の着物は生地幅が狭いものが多いです。
最終的に直せるかどうかは、実物を見ないと判断できません。
まずはお店に持ち込んで確認してもらうのが確実です。
■ 寸法直しと仕立て直しの違い
ここが一番混乱しやすいポイントです。
簡単に言えば、
部分か、全部かの違いです。
寸法直し
必要な箇所だけをほどいて直します。
費用目安:9,000円〜
納期:2週間~1か月
1〜2箇所だけ直せばよい場合に向いています。
仕立て直し
すべてほどいて洗い張りをして反物に戻して最初から縫い直します。(含む:洗い張り代金)
費用目安:46,000円〜100,000円(振袖や黒留袖は、別途)
納期:1〜2ヶ月
全体的にサイズが合わない場合に適しています。
判断の目安として、
・身長差が5cm以内 → 着付けで調整できる場合もある
・5〜8cm程度 → 寸法直しで対応できることが多い
・10cm以上、複数箇所が合わない → 仕立て直しが適切
となります。
■ 箇所別の料金相場
料金は素材や状態、店舗によって変わりますが、目安は次の通りです。
部分直し(寸法直し)
裄直し:15,000円〜(出す場合は18,000円~)
身丈直し:着付けで調整 (出す場合は要仕立て)
身幅直し:15,000円~(出す場合は18,000円〜)
袖丈直し:8,000円〜(出す場合は12,000円〜)
「出す(大きくする)」方が高い理由は、スジ消し作業が必要になるためです(これは着物により変わってきます)
■ 寸法を「出す」ときに必要なスジ消し作業とは
スジとは、縫い込まれていた部分に残る折り目や縫い目の跡です。
寸法を出すと、その跡が表に出ることがあります。
そこで行うのがスジ消し作業。
専用のコテで折り目を目立たなくします。 または、湯のしを掛けたりします。
完全に消えるわけではありませんが、かなり目立たなくなります。
変色など色が変わってしまっている場合は、色補正を行います。
追加料金に関しましては、お着物の状態により変わります。
■ 納期の目安
寸法直し(部分):2週間〜1ヶ月
仕立て直し(全体):1〜2ヶ月
急ぎ対応が可能な店もありますが、追加料金がかかる場合があります。
成人式や結婚式など着用日が決まっている場合は、
最低でも3ヶ月前には相談するのが安心です。
■ 寸法直しを依頼できる場所と選び方
依頼先にはいくつか種類があります。
呉服店
相談しやすく、採寸もしてくれます。寸法の割り出しにも慣れています、初心者向き。
和裁専門店
技術重視の方向け。どの部分をどれだけ直すか解っている方向け。
ネット通販型
価格は安めですが、採寸は自分で行います。海外仕立ての場合あり。
選ぶポイントは、
- 和裁士が作業しているか
- 事前見積もりが可能か(素材により変わる為)
- 口コミや実績が確認できるか
- 海外仕立てか・ミシン仕立て・国内手縫い仕立てかを確認する
価格だけで決めないことが大切です。
一番安心出来るのは、国内手縫い仕立てです。
当店は、京都の職人が責任を持って行います。
■ 寸法直しで失敗しないための注意点
裄直しをする場合は、長襦袢も一緒に直す必要があります。
着物だけ直すと、袖から長襦袢が見えてしまいます。
昔の着物は生地幅が狭く、希望通りに出せないことがあります。
縫い込みがないと「出す」ことはできません。
また、生地が劣化している場合は直せないこともあります。
■ まとめ
✓ 寸法直しは1〜2箇所サイズが合わないときに向いている
✓ 全体的に合わない場合は仕立て直しを検討する
✓ 費用・納期・依頼先を事前に確認する
✓ 着用日がある場合は最低3ヶ月前に相談する
✓ まずは実物を持ち込んで確認してもらうのが確実
着物は「合わないから着られない」ものではありません。
調整すれば、もう一度袖を通せることが多いのです。
思い出の一枚を、眠らせたままにしないで、
まずは一度、専門店に相談してみてはいかがでしょうか。
奈良で着物の京洗い・お仕立て・寸法直しをご検討の方へ
成長とともに寄り添う、「子ども着物」という存在