奈良の老舗呉服店が受け継ぐ|黄綬褒章受章 染匠 吉田隆男の教えとその着物観

奈良の呉服店として
京都の職人文化を受け継ぐ事
当店の着物観の根底には、
一人の職人の思想があります。
私の叔父であり、
京都伝統産業会館(現・京都伝統産業ミュージアム)元理事を務めた
染匠・吉田隆男です。
長年、京都の伝統産業に関わり、
手描き友禅をはじめとする染織文化の現場を支えてきました。
けれど、叔父が私に語っていたのは、
華やかな舞台の話ではありません。
「良い着物は、直せるように作られている。」
この一言でした。
着物は“完成品”ではない
叔父はよく言っていました。
着物は、売って終わりの品物ではない。
仕立て直し、染め替え、寸法直し、修復を経て、
何十年も生き続けるものだ、と。
京都の職人ネットワークの中で仕事をしてきた人間だからこそ、
絹の生地の強さ、染めの質、裏地の選び方、
どこまで直せるかを見極める目を持っていました。
つまり、
「未来を想定して作られているかどうか」
人の手で丹精込めて創った「ほんまもん」か
それが本物の条件だということです。
権威とは、肩書きではなく“見抜く力”
京都伝統産業会館の理事という立場は、
確かに一つの肩書きです。
けれど、私が受け継いだのは肩書きではありません。
・流行に流されない視点
・価格だけで価値を決めない姿勢
・職人の仕事を見抜く目
・直せるかどうかで着物を判断する基準
これらは、今の当店の着物選び、
仕立ての方針、着継ぎの考え方にそのまま息づいています。
染匠 吉田隆男とは
- 京都伝統産業会館元理事
- 京都伝統産業工芸会の会長
- 京都伝統産業に貢献したことが認められ黄綬褒章を受章
- 「キョート・キモノ・クリニック」代表
- 手描き京友禅染匠
なぜ「着継ぎ」にこだわるのか
私たちが
仕立て直しや着継ぎの話を真剣に書いているのは、
単なるサービスの一環ではありません。
京都で伝統産業を見続けてきた叔父の言葉が、
私の中に残っているからです。
着物は消耗品ではない。
直せるように作られたものは、
直して使うのが本来の姿。
この思想がなければ、
着物文化は“イベント衣装”で終わります。
権威性は「語るため」ではなく「守るため」
叔父が理事を務めていたことを、
誇示するつもりはありません。
けれど事実として、
京都の伝統産業の中枢にいた人間の思想を、
間近で見てきた経験は、
当店の大きな財産です。
だからこそ、
・着継ぎできる着物を勧める
・直せないものは正直に伝える
・将来を見据えた仕立てを提案する
こうした判断を、曖昧にしません。
着物は美しいだけでは足りない。
文化として生き続ける設計が必要です。
その視点を、
私たちはこれからも守り続けます。
最後に京都の伝統を守り続ける伝統工芸士達の仕事を詳しく知ることの出来るページをご覧下さいませ。
【手描友禅染匠】吉田隆男
着物と共に生きてきた人生ー今年八十八歳になる二人の男から学んだ事
はっとりの歴史 ― 奈良で受け継ぐ着物の美