黒留袖は買うべき?|買わなくてもいいケースを呉服店が解説

少し驚かれるかもしれませんが、今日は正直な話をします。
呉服屋ですが、
「その着物、無理に買わなくて大丈夫です」
とお伝えすることがあります。
売るのが仕事ではないのか?
そう思われるかもしれません。
確かに、着物を扱う仕事です。
ですが長くこの仕事をしていると、分かってきます。
無理に買われた着物は、必ず後悔につながるということを。
実際にあった話
あるお客様がご来店されました。
娘様の結婚式を控え、黒留袖をお探しでした。
いくつかご覧いただき、気に入られた一枚がありました。
ですが、そのときお持ちの着物の話になりました。
「昔、作ったものがあるんです」
拝見すると、とても良い黒留袖でした。
状態も良く、少し手を入れれば十分着られる。
そのため、こうお伝えしました。
「今回は、新しく作らなくても大丈夫ですよ」
少し驚かれます
この一言に、お客様は少し驚かれます。
「いいんですか?」
そう言われることが多いです。
ですが、こちらとしては自然な判断です。
なぜなら、その方にとって一番良い選択がそれだからです。
なぜそう言えるのか
これは経験の積み重ねです。
・着物の質を見る目
・お客様の立場
・その後どうなるか
長く見てきたからこそ分かることがあります。
そしてもう一つ。
父や大女将や先代から、ずっと言われてきたことがあります。
「目先で売るな」
信用は時間がかかる
着物は一度買えば終わりではありません。
・仕立て
・お手入れ
・次の機会
長く関わるものです。
だからこそ、その場だけの判断ではなく
その方にとっての最善を考えます。
結局、どうなるか
面白いことに、こういう接客をすると
「また相談に来ます」
とおっしゃっていただけることが多いです。
そして数年後、別の機会でご来店される。
そのとき初めて、新しいお着物の新調をいただくこともあります。
呉服屋の本当の仕事
着物を売ること。
それは確かに仕事の一つです。
ですが本当は
着物で後悔する人を減らすこと
これも大切な役割だと感じています。
最後に
着物は、人生の節目に関わるものです。
だからこそ、急いで決める必要はありません。
迷われたときは、一度立ち止まって考えてみてください。
そして必要であれば、相談してください。
無理にすすめることはありません。
その方にとって一番良い選択を、一緒に考える。
それが、昔から変わらない呉服屋の在り方なのだと思います。
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